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ドーナツの真ん中食べたの誰だ<エッセイ>

2018.3.16

私の職業はカフェ店主だ。

自宅と店舗は違うので、朝夕往復、そして児童クラブのお迎えに滑り込む。
春から小3の次男坊は、児童クラブのお迎えは大抵一番最後。保育園の時も一番最後。

私たちのお店の滞在時間は長い。みんなが思っているよりもきっと長い。
スタッフのおかげで大分やり残しが無くなってきたが、夫婦どちらかが先に帰り、もう片方は仕込みの続きをするのがほとんどだ。以前は下手したら、お迎えに行った後やり残した仕込みをしにまたお店へなんてことも多々あった。
カフェはゆるくない。

児童クラブのお迎えの時はいつも子どもは開口一番「今日のご飯なに?」
(この子お腹空かせてる….!)
シングルファザーだった料理人の夫。料理や掃除、洗い物は協力しながらやっている。

私はカフェ店主であり、妻であり、母なのである。
けど、誰かが淹れてくれたコーヒーを求めてみんなお茶しに行くように、私も求めたい。
知り合いのお店に行くのもいいけれど、時には私のことを誰も知らない場所で、黙って静かにコーヒーを飲みたい時がある。

私のお休みは日曜日。1週間でチャンスは1日だ。
カフェ店主・妻・母。
何者でもない、ただの女に戻る順番が来るのは果たしていつなのか。
(夫と子どもがこのブログを見ていたら、いつも自由にやってるだろと言われそうだけど。。。。!)

そしてついに行ったのだ。お茶しに…..!

コーヒーとドーナツを注文し、とにかく、自分を落ち着かせるように、コーヒーの香り、苦味を味わう。

ドーナツの穴に落っことしたものを、引き上げていくように、散らばっていた思考を集める。
こんな時に手帳なんてのは良い。散り散りになっていた思考を、書く。
考えることがまとまること、それが一つの癒しであるように、どっぷりとこの感覚に浸かった。
ドーナツの穴から拾い集めたもの。あれ、おかしいな。
子どもの顔が浮かんでくるぞ。お願いだから、この時間だけは一人の女にさせてくれ。
…………
ドーナツは人を幸せにする。大人も子どもも知っている。
かつて、くらしとごはんリクルではフリナッツというドーナツを作っていた。
まんまるくて、ハニココというココナッツの花の蜜からできたお砂糖をまぶして。
ドーナツは、はまる。
翌日、ランチタイムが終わり、一息ついた頃。
よし、久しぶりに作ってみるか。と作ったフリナッツ。
あれれ、また子どもたちの顔が浮かんでくる。

早く帰れた夕暮れ時。持って帰ったフリナッツ。
小2男子、中3男子。「なにこれ!あ!フリナッツだ!」と嬉しそう。
お店でフリナッツを作るのをやめてから、子どもの口に入ることもなくなった。
かれこれ2年にもなるのか。
学校はあーだった。給食がこーだった。フリナッツを頬張りながら、この時間のこの状況が嬉しそうな子どもたち。

落とし穴になっていた、私のドーナツの真ん中のとこ。
食べたの誰だかわかったぞ。