リクルのこと メニュー お知らせ お買い物 アクセス ブログ

千の風<エッセイ>

2018.10.11

予期せぬ知らせだった。
祖母の妹が亡くなった。
半月ほど前、入院の知らせを受けて、数年ぶりに会うことができた。病室のおばちゃんと手を握り合って、「ありがとう」を伝えられた。おばちゃんも、声にならない声で「ありがとう」を伝えてくれた。
小さい頃からずっとおばちゃんは優しかった。
痩せてて、メガネで、短髪で、一見、男か女かわからない、どこからどう見てもブスな私に「明日香さんは可愛い。こんなべっぴんさんおらん。女優の鈴木保奈美さんみたいじゃ。」と、こんな絶世の美女初めて見たかのような言い回しで会うたびに言ってくれていた。
お通夜で、祖母がおばちゃんに語りかける姿を見て、切なくなる。
いつかはその時が来る。
私にも姉がいる。どちらが先立つかはわからないけれど、「すごく楽しかった、ありがとう」の気持ちでいっぱいになると思う。
死んだら人はあの世の世界があると思うし、「千の風になって」のように、ふと、そばにいると思う。
それをどんな言葉で表すのか。言葉では表せないような気持ち、感じを、言葉に当てはめると「千の風」って、そうだなあ「千の風だなあ」と思う。
けれど、大切な人が、千の風になる前に、大切な言葉は、直接伝えたい。生きている間に幸せな言葉を伝えて、大切な人の心を、幸せな言葉で満たしたい。
死んで「千の風」ができることと、生きて「生身」ができることは違うから。
だから、「ありがとう」って何回でも言う。「好き」って言う。

 

どうかどうか安らかに。